いつもの電車に乗り込むと、他愛もない話をする私達の姿は周りからどんな風に見えるのだろうか?

まだ幼い私達の恋愛なんて、周りの大人達からしてみたらおままごとみたいなものなのかもしれない。

だけれどそんな私達でも、真剣に誰かに恋をしたり、愛したり出来るんだって事を今なら胸を張って言えるような気がした。

幼いからこそ純粋に誰かを想う事が出来るんだと、私はそんな風に感じた。

電車は直ぐに、私の住む街へと着いた。
電車が止まった瞬間、和也はもうすっかり癖になってしまっているのか私に手を差し出したけれど、私は困った顔をして笑った。


「・・・ごめんw」


和也はそんな私に同じように困った顔で笑ったけれど、直ぐに手を引っ込めて私と一緒に電車を降りた。
そしていつもと同じ繁華街を通って、私達は無事に自宅のマンションの入り口まで辿り着いた。


「じゃあ、明後日ね。9時に迎えに来るから。」


マンションの入り口で、和也は優しい笑顔でそう言った。


「うん。楽しみにしてる。」


私も笑顔で和也を見つめた。


「何かあったら電話して?」

「うん。」


和也はそう言ったけれど、私はもう自分から和也に連絡する事はないのだろうと思った。


「じゃあ、またね~」


和也は明るくそう言って、私に手を振ると振り返らずに繁華街の方へ歩いて行った。
私はその後姿を、見えなくなるまでじっと見つめていた。