「お邪魔します。」


「はい、どうぞ。」


和也が開けてくれたドアを入ると、この前アンナが来た時よりは幾らか綺麗な気がしたけれど、やっぱり和也の部屋はおもちゃ箱みたいな部屋だった。

相変わらず面白いフィギュアや、アメコミなんかが大量に置かれたその部屋は、モノクロで見るよりよっぽどカラフルで楽しかった。

部屋を観察する私に、和也は突然こう言った。



「そんなに楽しい?」


壁に掛けられたホラー映画の悪役のマスクが気になる私に、和也はそう言ってご機嫌そうに笑ってた。


「だって、初めて見たんだもん。」


私は無意識にそう言ったけれど、和也は一瞬言葉に詰まったようにこう言った。



「この前もそれ見てなかった?」


私はその言葉に焦ったけれど、直ぐに平静を装ってこう返した。


「えー?そうだっけ?これは見てない!」


私がそう言うと、和也はにっこりと微笑んで「好きなだけ見てよ。」と笑いながら言った。

だけれど何時までも見ていても仕方ないので、私はベッドに胡座をかいて座っている和也の隣にゆっくりと座った。


すると、和也は突然私の腕を掴んで自分の元へ引き寄せると、後ろから私を抱き締めた。


「……やっと捕まえた。」


和也はそう言って、私の後頭部に頬を寄せた。


「うーん。かなうの匂いがする。」


和也がそんな事を言ったので、私は少しだけ恥ずかしかった。