叶う。 Chapter2





楽しい時間が過ぎるのは早い。

今日は皆私のグランプリでお祝いモードだったけれど、それはチャイムが鳴ると同時に入って来た担任によってお開きにさせられた。


「ほらー、お前ら席に着け。一条さっさと教室に戻れ。」


担任はもう和也達がこのクラスに居ることにすっかり慣れてしまっているようで、そう言ってシッシと手を振った。

和也達が教室を出ると、担任は直ぐに朝のHRを始めた。


「さて、分かっていると思うが、明日から冬休みが始まる。今からプリントを配るのできちんと目を通しておくように。」


担任はそう言って、冬休みの過ごし方と書かれたプリントを全員に配った。

それはありきたりな内容だったので、きっと皆守ることはないだろうけれど一応配る規則なんだろう。

私は配られたプリントをちらりと見ると、それを二つに折って鞄に押し込んだ。



その後は体育館に移動して、校長の長い話を聞かされて、成績表という残念な物を配られて今日の学校は終わりだ。

もう来年まで学校に来る事はないので、私は机の中身やら忘れ物やらがないようにしっかりと身の回りの物を鞄に詰め込んだ。

終業のチャイムが鳴り響き、ばらばらと生徒達が席を立つ中、凛と祐希が私を迎えにやって来た。


「かなう、一緒にかえろ~」


「あ、うん。」


私はそう言って、もう一度忘れ物がないか机の中をチェックした。
だけれど中身は空っぽで、私は席を立つといつもみたいに凛と祐希と並んで教室を出た。