叶う。 Chapter2





教室に入ると、私は突然抱き付かれた。
あまりに驚いて腰が抜けそうになったけれど、抱きついた犯人を見るとそれはもうすっかり元気になった凛だった。


「グランプリおめでとー!!!」


凛は髪を茶色に染め直し、もうすっかり顔の傷も消えていた。
そんな元気いっぱいな凛は、どうやら最近祐希と付き合い始めたらしい。

元々、凛の事が好きだった祐希が凛に告白したのがきっかけらしいけれど、祐希曰く、凛はほっとくと何するか分からないから監視しているらしい。


「ありがと凛。」


私も凛の背中にぎゅっと腕を回した。

そんな祐希のおかげで、最近の凛は真面目に学校に来ている。
まだたまに色々思い出して涙する時もあるみたいだけれど、優しい祐希のおかげでそれもなくなりつつあった。


凛はしばらく私をぎゅっとしていたけれど、私を追って教室に入って来た和也によって、私達は引き離された。


「ちょっと、邪魔すんな。」


凛はむくれて和也にそう言ったけれど、顔は笑顔だった。


私が席に着くと、和也や凛も私の周りに集まってきた。

そして直ぐにその場所は皆の話し声で賑やかになる。

くだらない話だったり、真面目な話だったり、遊んだ時の話だったり、私達は尽きる事のない話題を沢山話した。
私は毎回聞いているだけだけれど、それでも私はそんな皆が好きだった。