女性は私と視線を合わせると、突然こう言った。
「じろじろ見てしまってごめんなさいね。私こういう者です。」
女性はそう言うと、ポケットから名刺を取り出した。
名刺には二ノ宮貴子(にのみやたかこ)と言う名前と、電話番号、オフィスの住所などが書かれている。
私は意味が分からなくてその人をじっと見た。
「あなた、ハーフなの?それとも外国の方?」
「・・・ハーフですけど。」
赤の他人に素性を知られたくなかった私は、不機嫌にそう言った。
「あなたとっても気が強そうね。」
二ノ宮貴子という女性はそう言って、クスクスと笑った。
私は何故かその笑いが癪に障ったけれど、赤の他人に何か言っても仕方ないので、今朝のレオンのようにブスっとしながら黙ってた。
「私の業界では気が強い人は大歓迎なの。そうしないと生き残れないしね。あ、でももちろん礼儀知らずはお断りだけど、今までこういう風に声を掛けられた事ないかしら?」
「・・・・ありません。」
私は即答して、早く電車が来てくれないかホームの端に視線を向けた。
「前から何度か、あなたをこのホームで見かけていたの。今日会えてとても嬉しいわ。」
私はこの人は一体何者で、何の用事があるのかすら分からなかったので、率直に聞いてみる事にした。
他人に構う時間は今の私にはすごく面倒だった。

