叶う。 Chapter2





私を上から下までジロジロと観察するその女性は、とても綺麗な身なりをしているけれど、私は気分が悪くなった。

朝から何故、こんなにも知らない人にジロジロ見られなくてはならないのか。

そうでなくても、色々と気が立っている私は思わずその女性を睨みつけた。
年齢は恐らく、ママと同じくらいだろうか。

きっちりとしたスーツにコートを羽織り、赤で縁取りされているオシャレな眼鏡をかけたその人は、私の鋭い視線はあまり気にならないようで、何故か私に向かってゆっくりと歩いてきた。

私は驚いて辺りを伺った。

ひょっとしたら私を見ていたんじゃなくて、違う人を見ていたんじゃないかと咄嗟にそう思ったからだ。

だけれど周りを見てみても、その人の視線に納まる範囲にはどう考えても私しか居なかった。


睨んだ事が気に障ったのか?
だけれどそっちが先にジロジロ眺めてきたんじゃないか。

私は段々と近づくその人が、一体何しにこっちに来るのかと少しだけ不安になった。

睨んだ事を怒られるのだろうか。

それとも私が覚えていないだけで、知り合いだったりするのだろうか。


その人はゆっくりと私の目の前までやってきた。

距離にすると1メートルもないだろう。

私はゆっくりと顔を上げて、自分よりも背の高いその女性の顔を見上げた。