だけれどどちらにしても、余計な事を考えるのはとても気分転換になる。
私はそう思いながら、最後の仕上げに髪をワックスでふんわりと仕上げた。
部屋の入り口付近に置かれた姿見で全身をチェックすると、私はコートを羽織りマフラーを巻いた。
そして少し時間は早かったけれど、部屋を出て学校に向かおうと思った。
途中リビングの扉を開けると、双子はまだ食事をしながら何やら話をしていたけれど、私はその話を聞かないように「学校行って来ます。」とだけ伝えて、直ぐに玄関に向かった。
「気を付けてね~」
と、レオンの大きな声が聞こえて来たけれど、私はローファーを履くとそのまま玄関の重い扉を開けた。
途端に身を切るような冷たい北風が吹き込んで来たけれど、私はそのまま庭を通り過ぎエレベーターに向かった。
エレベーターを待つ間、ふと振り返って自分の暮らしている家を眺めた。
8年もの長い歳月を、私はママとシオンとレオンと四人でこの家で過ごしてきた。
正確にはアンナだけれど、それでもこの家には私達家族の思い出が沢山詰まってる。
もちろん楽しい事ばかりじゃなかったかもしれないけれど、それでも家族の誰かが欠ける事なんて今まで考えたことすらなかった。
だけれど、もう決まった事だ。
シオンが決めた事だ。
私はもう涙を流さないように、やって来たエレベーターに乗り込んだ。

