「約束を守ることが、俺には出来なくなったから・・・」
シオンはそう言って、私の身体をそっと離した。
その表情はとても苦しそうで、見ているだけで心が痛んだ。
私は意味が分からなくなって、咄嗟にシオンの腕を掴んだ。
「どうして!?・・・私が出てきたから?」
「いや、お前は関係ない。」
「私、なんとかアンナと入れ替わるから、そんなこと言わないで・・・」
出来るかどうか分からないけれど、私はそう言った。
こんなに弱った表情を見せるシオンを見たことがなかったからか、私は泣きながらもしっかりとそう言った。
「もう、無理なんだ。」
だけれどシオンはそう言って私を見つめながら、こう言った。
「俺は跡取りに選ばれた。」
「・・・どういうこと?」
「昨日親父が跡取りに俺を指名したんだ。」
「でも、それは関係ないでしょ?」
「お前にもアンナにも関係はないさ。だけど俺はもう自由じゃない。」
「どういう意味?」
「そのままの意味さ、自分の意思で生きれない。俺を生かすも殺すも親父の気分次第だ。」
私はシオンの言葉に、返す適切な言葉が見当たらなかった。
だけれどシオンはしっかりと私の瞳を、その蒼い綺麗な瞳で捉えた。
「もう、会えなくなるの?」
適切な言葉が見つからない私は、思わずそんなおかしな質問をしてしまった。
だけれどシオンはまた片方の口角だけを上げて、優しく笑った。

