叶う。 Chapter2





「約束を守ることが、俺には出来なくなったから・・・」


シオンはそう言って、私の身体をそっと離した。
その表情はとても苦しそうで、見ているだけで心が痛んだ。

私は意味が分からなくなって、咄嗟にシオンの腕を掴んだ。


「どうして!?・・・私が出てきたから?」


「いや、お前は関係ない。」


「私、なんとかアンナと入れ替わるから、そんなこと言わないで・・・」


出来るかどうか分からないけれど、私はそう言った。
こんなに弱った表情を見せるシオンを見たことがなかったからか、私は泣きながらもしっかりとそう言った。


「もう、無理なんだ。」


だけれどシオンはそう言って私を見つめながら、こう言った。


「俺は跡取りに選ばれた。」


「・・・どういうこと?」


「昨日親父が跡取りに俺を指名したんだ。」


「でも、それは関係ないでしょ?」


「お前にもアンナにも関係はないさ。だけど俺はもう自由じゃない。」


「どういう意味?」


「そのままの意味さ、自分の意思で生きれない。俺を生かすも殺すも親父の気分次第だ。」


私はシオンの言葉に、返す適切な言葉が見当たらなかった。
だけれどシオンはしっかりと私の瞳を、その蒼い綺麗な瞳で捉えた。


「もう、会えなくなるの?」

適切な言葉が見つからない私は、思わずそんなおかしな質問をしてしまった。

だけれどシオンはまた片方の口角だけを上げて、優しく笑った。