「ねぇ、アンナ。僕明日この病院を退院するんだ。」
アンナはその言葉に驚いて、持っていた花が手から滑り落ちた。
「毎日、お見舞いに来るよ。」
シオンは完全に動かないアンナにそう言って、落ちて散らばった花を拾い集めた。
アンナは俯いて、シオンの言葉の意味を考えていた。
きっと、もう2度と会えないんじゃないかと子供心にそう思ったのかもしれない。
「おいていかないで!!」
アンナはそう言って、シオンの手を引いた。
シオンはそんなアンナを寂しげな目でじっと見つめていた。
その途端アンナは俯き、視界がモノクロになった。
アンナはシオンが居なくなる事に耐えられなかったのだ。
私が瞳を開けると、そこには悲しそうな表情を浮かべたシオンが私をじっと見つめていた。
きっと入れ替わった事に、気付いてないだろうと私は感じた。
私の瞳からポロポロと、涙が零れ落ちた。
それは私のベッドに流れ落ちて、小さく沢山の染みを作った。
「置いていかないよ。」
シオンはそう言って、私をぎゅっと抱き締めた。
今よりも全然小さい背中に、私は必死に腕を回したのを覚えている。
「一緒に行こう。」
シオンは私にそう言った。
私は泣きながら頷いたのを覚えている。

