「ダンス7時30分からだっけ?」
「はい、そうです!」
「じゃあ、ステーキ食べに行こうか。焼肉だと時間かかるしね。」
「本当ですか?めっちゃ嬉しいですw」
車の中で、和也とママは楽しそうにそんな会話をしていた。
私は2人の会話を聞きながら、ぼんやりとママの言っていた言葉を考えていた。
だけれど私にはまだその答えは分からない。
普通の家庭を持って、普通に子供を産んで、皆に愛されて生きていくという普通の生き方を出来る人が、一体この世界にはどのくらいいるんだろうか。
ママは色々あったけれど、今は幸せだと言った。
3人も家族が出来て幸せだと。
やっぱり幸せの基準は人それぞれなんだと、私はようやく本当に理解する事が出来た。
家族が居て、和也が居て、凛が居て、私はそれだけでも充分に幸せなのかもしれない。
例えシオンに愛されなくても、私はママにもレオンにも愛されているのだ。
シオンには申し訳ないけれど、もしもアンナが目覚める事がなかったとしたら、私はシオンを家族として愛していこうと思った。
拒絶されても、それ以外私に出来る事はない。
何故だかそう考えると、私の心はとても落ち着いた。
やっぱり一度、本気でシオンと向き合うべきなんだと、私は心の中でそう考えた。

