和也は直ぐに車に気付いて、こちらにやって来た。
ママは窓を開けると「お待たせ」と和也に声を掛けて、車に乗るように促した。
「すいません、迎えに来て頂いて。」
和也は後ろのドアから車に乗り込むと、本当に申し訳なさそうにママにそう言った。
「そんな事気にしないで。誘ったのはこっちなんだから。」
ママは和也が本当にお気に入りのようで、嬉しそうにそう言った。
和也は助手席に座る私に視線を向けると、相変わらず優しい瞳で私をじっと見てこう言った。
「グランプリおめでとう!」
「あ、ありがと。」
「ん?何かいつもと顔違う?」
和也がそう言うと、ママは声を上げて笑った。
「そうなの、この子ったら、優勝が嬉しくて一晩中泣いてたのよ。」
「え?そうなの?」
和也にそう聞かれたので、私は苦笑いをしながら頷いた。
ママはやっぱり人と会話をするのが巧い。
和也はママの嘘に全く気がついてない様子で、笑いながら私の頭を撫でた。
和也の体温に、何故か心が温かくなった。
「さぁそろそろ行かないと、時間なくなっちゃうわ。和也君、何食べたい?」
「肉食べたいですw」
「そうよね、男の子ですもんね。」
和也はいつでも素直にそういう事を冗談を交えて相手に伝える事が出来る。
それも完璧に相手を嫌な気分にさせない言い方をするのだ。
人によっては図々しいと感じる人も居るかもしれないけれど、ママ曰く何でもいいと言われるよりよっぽどいいらしい。

