「良いのですか?もうあの小さなお嬢さんじゃないのですから、ご自身の好みの物があるかもしれませんよ?」
波多野さんはそう言ったけれど、私は首を振った。
「あのソファが気に入っているんです、とっても。」
私の言葉にママが優しく微笑んだ。
「じゃあ、そうして頂きましょう、ね?」
ママが私にそう言ったので、私は何度も頷いた。
「承知しました。ではクッションの交換だけでしたら、そちらに出向いて直させて頂いても宜しいですか?」
「はい、大丈夫です。出来たら昼間にお願いできます?」
「はい、承知致しました。では修理依頼で処理させて頂きますのでこちらへどうぞ。」
波多野さんに案内されて、ママは修理依頼の伝票を記入した。
私はママの隣に座りながら、展示されている家具を眺めていた。
よく見ると、それはどれも一つとして同じ物はなかった。
きっと全て手作りや、1点物でしか取り扱っていないんだろう。
私はその中でも、ステンドグラスで縁取られた写真立てが物凄く気になった。
色とりどりの鮮やかな涙型のステンドグラスがシルバーの額縁にはめ込まれているその写真立てが何故か私の視線を捉えて放さない。
じーっと見つめている私に気がついたのか、波多野さんは静かにこう言った。
「お気に召しましたかな?それはイタリアの職人が作った物なんですよ。」
波多野さんはそう言って、布の手袋を片手にはめるとその写真立てを私の目の前に持ってきてくれた。

