全て手作りだった事にも驚いたけれど、それを汚してしまった事がなんだかとても申し訳なく思った。
少女趣味の嫌な部屋だとばっかり思っていたけれど、まさか誰かが心を込めて作ってくれていた物だと知った瞬間、私はなぜかあの部屋に対して文句すらなくなった。
8年も使っているはずなのに、ベッドも机もソファも、どれも壊れる気配すらない。
多分、どこかで適当に買ってきた物なら8年も使えばボロボロになるだろうと今更になって気がついた自分がとても恥ずかしかった。
「ソファですか、どこか傷でも出来ましたかな?」
「いいえ、傷じゃないの。背もたれに染みをつけてしまったみたいで。」
ママは申し訳なさそうにそう言った。
私は咄嗟に謝りたい衝動に駆られたけれど、なんだか萎んだ風船みたいな気分だったので俯いたまま黙ってた。
「染みですか?」
「そうなの、だから新しいのをと思って。」
「もし宜しければ、枠組みを残してクッション部分だけ変えましょうか?勿論、新しい物もご用意出来ますが?」
波多野さんは相変わらずにこやかにそう言った。
その瞬間、私は自分でもびっくりするくらい素早くこう言っていた。
「クッションだけ取り替えて欲しいです。」
ママと波多野さんが同時に私を見た。

