叶う。 Chapter2





リビングの扉を恐る恐る開けると、そこにはもう双子の姿はなかった。
ママはもう支度が済んでいた様子で、コートとバッグをソファに置いたままキッチンでタバコを吸っていた。


「ママごめんなさい、お待たせ。」

「あら、今日は随分ボーイッシュなのね。」


ママは私を見ながらそう言って笑った。
最近はいつも可愛らしく、誰が見ても可愛く見えるように意識していたので、カジュアルな服装にママは不思議そうに私を見た。

「たまにはいいかなって。」

私は微笑んでそう言った。
ママはそんな私に一瞬笑顔を見せたけれど、直ぐにタバコを消してこう聞いてきた。

「和也君の予定はどうだって?」

「うん、大丈夫みたい。ダンスの前なら。」

「じゃあ6時くらいかしらね?」

「うん、そうだね。」

「じゃあ、先に買い物に行きましょう。」

ママはそう言ってソファに向かってコートと鞄を手に取った。
そして私を促すように背中に手を添えると、私を連れてリビングを出て真っ直ぐに玄関へと向かった。

いつもなら高いヒールを履くところだけれど、今日は何だか眩暈がするのでムートンのブーツを履く事にした。

多分眩暈の原因は、疲労と寝不足と、心労のおかげだと思うけれど、ヒールを履いて転ぶほど恥ずかしい事はない。

いつも出かける時よりも低い身長に、何だか溜息を吐きたくなった。