私がそう言うと、和也は本当に嬉しそうにしていた。
電話口でも分かる程の喜び様に、私は更に胸がチクリと痛む。
「じゃあ、買い物が終わったら連絡入れるね。」
"うん、宜しく!って、何処に居たら良い?"
「今、何処にいるの?」
"溜まり場で皆で居るよ!"
背後が若干騒がしいのはそのせいかと、ふと思った。
「車だから、多分何処に居ても大丈夫。ママに迎えに行って貰うから。」
"え!?それは申し訳ないから、買い物が終わったら何処に居るか連絡頂戴。そっちに行くよ!"
「あ、うん、分かった。」
和也はいつでもこうして相手に合わせようとする。
それは多分、昔からの性格なのだろう。
まともな環境で育ったごく普通の人、だけれど誰よりも優しく、私を大事にしてくれる。
何だかとても切なくなって、私はその後直ぐに電話を切った。
私はこんなに優しい人を傷付けなくてはいけない。
今すぐと言う訳じゃないけれど、何だか複雑な気分だった。
私は電話を切ると、適当な鞄に携帯と必要な物を入れて部屋を出た。
気分はどんよりで最悪だったけれど、ママをいつまでも待たせる訳にもいかない。
私はなるべくママに悟られないように、笑顔を作ってからリビングに向かった。

