私はシオンが落ち着いたら、泣きつこうと思った。

泣いて謝れば、シオンも気が変わるかもしれない。

許してくれるかは分からないけれど、可能性は0じゃない。


それよりも、今一番心配なのは自分の身体だ。

明日病院に行くべきなのか、でも中学生が一人で産婦人科にアフターピルなんか貰いに行っても大丈夫なんだろうか?

乱暴に扱われたおかげで、身体のあちこちに小さい痣が出来ているし、医者にそれを指摘されたらどう説明すれば良いのか分からない。

かと言って、シオンの部屋を漁ってそれを見つけることが出来たとしてもバレたらもっと大変な事になる。


私は暫く頭を悩ませたけれど、不意にふと思い出した。


それは一か八かの賭けだけれど、レオンに相談してみようと思った。

ママにはさすがに本当の事を話せない。

だけれどレオンなら、話しても他言はしないだろう。

レオンがシオンと同じような考えをする人だったら、私は間違いなくまたシオンに追い詰められて酷い目にあわされるかも知れない。

だけれどそれ以外に頼れる人は居ないのだ。



私はそう考えて、パジャマを着るとシオンの部屋を出た。


レオンがもう帰っているのか分からなかったけれど、私はシオンの部屋から更に奥のレオンの部屋まで音を立てないように歩いた。

そして耳を済ませた。

中から微かに物音はするけれど、喋り声じゃない。


私は大きく息を吸い込むと、レオンの部屋の扉を小さく2回ノックした。