と、言うことは。

樹を海外に行かせたのは、一体誰なんだろう?
そして、どうやったらそんな短期間でそれだけの事をやってのけたのだろう?

私の悪い頭では、そんな事が出来るなんて考えられない。
頭の中で悶々とそんな事を考えていたら、シオンが突然こう言った。


「日本人は高く売れるんだ。」


私はその言葉に目を見開いてシオンを見上げた。


「…どういう意味?」


「そのままの意味だ。特に年齢が若ければ若いほど高く売れる。」


「どうやって?なぜそんな事が出来るの?」



私はシオンの言葉に全身が凍りついたかのような寒気に包まれた。


「需要があるから供給がある。お前だってそうだっただろ?」


確かに私も売られていたのだから、シオンの言う通りなんだけれど、何故か酷く心が掻き乱された。


「世界はお前が思っている以上に、穢れている。例えさっきお前が言ったように犯罪をしていようが、そこに需要がある限り供給も必要だ。」


シオンはそう言って、小さく溜め息を吐いた。


「で、でもシオンはしたくてしているんじゃないんでしょ?」


私は何故か、今ならシオンが喋るような気がした。
だから私はシオンの腕をぎゅっと掴んで、その冷たい蒼い瞳を覗き込んだ。


「どうしてシオンはそんな事しているの?」


私は自分でも驚くほど、必死にシオンに伺いを立てた。