だけれどそれはもうどうでもいい事なのかもしれない。
出来る事ならば記憶から抹消してしまいたいと思うけれど、それはもう無理な話だ。
あの子に入れ替われば、そんな苦々しい記憶は消えてなくなるけれど、それは同時に私の存在を消滅させる事になる。
私はそれに納得なんて出来ない。
あの子の代わりに、私がどれだけ苦しんできたのか、誰にも知られる事もなくただ消えていく存在でいることなんて私はそこまでお人好しじゃない。
どうせ消える存在ならば、せめてこの恨みだけでもきちんと晴らして終わらせたい。
だから私はあの子を深い海に落としたんじゃないか。
全てが終わるまで、何も見えなくて良い。
あの子は何も知らなくていい。
おそらくだけれど、シオンは私が何をするつもりかずっと気付いていたんだろう。
そしてその事で、私自身があの子の身体を傷つける事をしないように監視しているのだと思った。
シオンは私が思っていたよりも、多分私の全てを理解し尽している。
冷たく鋭い蒼い瞳が、全てを見透かしているように感じるのは、本当に見透かしているからなのだと、私は初めて気がついた。
シオンはあの子を守るために、同時に私の存在も守らなくてはいけないのだ。
だからきっと私が望むなら、シオンは私に手を貸す事も、自ら手を下す事も厭わないのだろうと思った。
それは私にとっては好都合であり、非常に心強い事だった。

