シオンの瞳を見続けていると、何故か身体の震えが治まった。
そんな私の腕を引っ張り、シオンは後ろから優しく私を抱き締めた。
そしてまた耳元で静かにこう言った。
「獲物を見つけたら、よく観察することだ。そいつがどんな人間で、どんな行動をするのかよく考えろ。追い詰められた獲物ほど予期しない行動をとる。だから常に先を見据えてよく観察するんだ。」
シオンの言葉に無言で頷く。
「心配するな。俺は常にお前を見ている。お前に何かあっても助けるから安心してろ。そいつに笑顔を振りまくくらいのつもりでやるんだ。分かったか?」
振り返ってシオンの瞳を見つめたかったけれど、シオンは背後から私を抱き締めてるので、それは出来なかった。
だけれど不思議なもので、さっきから煩いくらい鼓動を刻んでいた心臓も、震えて仕方なかった指先も、なぜかいつもと変わらないくらい正常に戻っていた。
「お前なら出来るはずだ。」
何を根拠にそう言ったのかは分からないけれど、シオンのその言葉で、私はすっかりと落ち着きを取り戻した。
実はシオンが催眠術でもかけたんじゃないかってくらいの落ち着き方に、何故か頭がいつもよりもすっきりと冷静になった。
そう、きっとこれは運命だったのだ。
神様が私に与えてくれた、復讐の第一歩なのだと。

