叶う。 Chapter2





「お前が望むのは何だ?そいつをこの世から消す事か?」


シオンはそう言って綺麗で残酷なあの笑みを浮かべた。


「それとも、尻尾を巻いて逃げる事か?」


未だ動揺を抑えきれない私に、シオンは静かに語りかける。


「お前が逃げたいなら手を貸してやっても良い。ただ、お前は逃げて満足なのか?」


シオンの冷たい声音は、段々と低くなっていった。
その突き刺さるような言葉に、私は何故か胸を抉られるかのような感覚がした。

鼓動はまだ落ち着く事もなく、一瞬足元がふらついた。

そんな私の腕を、シオンは掴んで真っ直ぐ立たせた。


そして私の腕を引き寄せると、耳元で小さくこう言った。


「獲物が自ら近づいて来たのに、お前はもう獲物じゃない狩人だ。そいつが獲物なんだ。狩人は追い詰められるものじゃない・・・・獲物を追い詰めるものだ。」


シオンの言葉に、思わず両目を大きく開いた。

そう、私は獲物だったのだ。
あいつらは幼かった私を狙って追い詰めて餌食にしてきた。


だけれど、今は違う。
シオンの言うとおり私は狩る側なのだ。

私は視線を上げると、シオンの冷たい瞳を真っ直ぐに見つめた。

氷の様に綺麗なその蒼く鋭い瞳をじっと見つめていると、私には分かった。


シオンは常に狩る側の人間なのだという事が。