「分かった。」
暫く考えた後、シオンは突然そう言った。
何が分かったのか意味が分からなかった私は、相変わらず涙を堪えてシオンを見上げた。
「……お前はどうしたいんだ?」
シオンはそう言って、私の頬を優しく撫でた。
「ど、どうしたいって?」
「このまま帰るか?それとも……」
シオンはそう言って、いつもの様に冷たく相手を嘲るような残酷な笑みを浮かべた。
「……そいつに裁きを与えるなら、満足か?」
「…………。」
シオンの言葉に何も答える事が出来なかった。
確かに復讐をするつもりではいたけれど、今日と言う日じゃなかった。
だけれど、冷静に考えればこれは運命なんじゃないかと思い始めた。
名前も知らないあの男が、自ら姿を現すなんて偶然は滅多にある事じゃない。
シオンのお蔭で、少しだけ冷静になれた私はその冷めた蒼い瞳をじっと見つめた。
「もし、お前がその男に制裁を与えてやりたいなら、逃げるべきじゃない。」
シオンは冷たい声で、小さくそう言った。
「立ち向かうくらいの器量を見せてみろ。そうしなきゃお前の気は済まないだろ?」
シオンのその冷たい声音に、私は段々と気分が落ち着いていくのが自分でも分かった。
だけれどどうしたら良いのかが分からない。
直ぐ近くにあいつが居ると考えただけで、私は震えが止まらないし、そんなんじゃ演奏なんて出来っこない。

