叶う。 Chapter2





トイレを出ると、レオンは休憩室の喫煙スペースで煙草を吸っていた。

こんな所ママに見られたら、多分また打たれるだろうけれど、レオンはスーツのせいかとても高校生には見えないので違和感はなかった。


「ごめん、お待たせ。」


私がそう言うと、レオンは小さく肩をすくめただけで特に何も言わなかった。

なので、私も何も言わずにレオンの後に着いて、そのまま貴賓席に戻った。



落ち着いて席に着くと、直ぐに場内にアナウンスが流れ始めた。

もうじき開演だ。
注意事項や案内説明などの一通りのアナウンスが終わるまで、会場内は静まり返っていた。

私は毎年モノクロの世界でそれを聞いたり見たりしていたので、何だか色があることがすごく新鮮に感じた。

アナウンスが終わると、場内の照明が少しだけ暗くなった。
赤いビロードのカーテンがゆっくりと開いて、ステージを明るい照明が照らした。

中央に置かれたグランドピアノが光に反射して漆黒だけれど輝きを帯びていた。

その輝きは溜息が出るほどに、とても美しいと感じた。

そのピアノは私が使っているものと同じ物だけれど、こんな大舞台に置いてあると不思議と全く別の物に感じる。

私は自然とステージ全体をぐるりと見渡した。