「アンナ、大丈夫?」
車はとうとう、会場に着いた。
さっきまでくだらない事ばかり考えていた自分は何処へ行ってしまったのか、私は酷い緊張で吐き気がしていた。
多分、顔色も酷い事になっていたんだろう。
ママは車を降りる私にそう言ったけれど、私は無言で頷く事しか出来なかった。
「大丈夫?」
先生もそんな私に気付いて、不安そうに私を見つめていたけれど、私は頷くだけで精一杯だった。
「とりあえず、中に入りましょう。」
ママが駐車場に車を停めに行った瞬間に、シオンが静かにそう言った。
私達が車を降りた会場の入口には、続々と後続の車が入って来ては、華やかな衣装に身を包んだライバル達がどんどん会場に入って行く。
シオンは私を気遣ってるのか、相変わらず私の手を繋いだまま会場に入って行った。
会場の入口は人で溢れていた。
なんせ幼児部門から高校生部門までの選ばれた人々が一斉に会場に集まって居るのだ。
そんな中でも、やっぱり目を引いてしまうのは自分と同じ中学生位の人の姿だった。
あの人達だって、私と同じように死ぬ気で練習を重ねて来たに違いないと思うと、何だか胃に穴が空いたんじゃないかってくらいキリキリと痛んだ。
シオンはそんな私に気がついているのか、終止無言だけれどずっと手を繋いだまま、時折その手を優しく撫でてくれた。
さっきまでは振りほどきたくて仕方なかったのに、何故か今はそのシオンの体温に少しだけ安心していた。

