叶う。 Chapter2





やっぱりレオンの変わり身の速さはすごいと思う。

先生に向けて笑顔で挨拶を済ませ、先生が雨に濡れないように細心の注意を払っているのが、曇った窓からも確認出来た。

レオンは先生が車の助手席に乗り込むまで、まるでホテルマンのように丁寧に先生を誘導して連れて来た。


「おはようございます。生憎のお天気ですが、今日は宜しくお願い致します。」


先生が車に乗り込むと、ママが先に挨拶を済ませた。


「いえいえ、此方こそ宜しくお願い致します。」


先生は上品にそう言って、ちらりと振り返り私を見た。


「アンナ、大丈夫?きちんと休めた?」

「はい、大丈夫です。」

「あまり緊張してないみたいで安心したわ。」


私が笑顔で返事をしたので、先生はそう言って優しく笑った。

私はちらりとシオンを盗み見ると、シオンは当たり障りない笑顔を取り繕っていたので、何だか微妙に腹が立った。

レオンよりは全然愛想は悪いけれど、シオンもある程度外面が良いのだ。

特に相手によってそれを使い分けるので、本性を知っている私は何時か化けの皮が剥がれたら面白いだろうと密かに思う。

賢いシオンがそんなミスを侵す事は多分一生ないだろうと思うけれど、完璧な人間がミスをするのを1度くらい見てみたいと思う。



私がそんなくだらない事を考えている間に、ママの運転する車は順調に会場へ向かって走り出した。