「お帰り。」
私が視線を向けると、そこにはシオンの姿があった。
相変わらず冷めた蒼い瞳で私をじっくりと眺める。
多分、私がどちらなのか判断しようとしているのかもしれない。
「ご飯は?」
私は冷たい視線をものともせずに、そう聞いた。
「……。」
相変わらず表情を変えずに私をじっと見つめるその視線に、何だか無性にイライラする。
だから、私はこう言った。
「昨日の事、ママに黙っててくれてありがとう。」
「…………。」
「お陰で助かったの。色々とね。」
「……アンナはどこにいる?」
「アンナは目の前に居るじゃない?」
「お前がアンナなのは分かってる。もう一人の方だ。」
やっぱり、この人は誤魔化せない。
だけれど、この人は私を傷つけたりしないことを私はちゃんと知っている。
「さぁ?何だかとても眠たいって言ってたから、暫く眠るんじゃない?」
「…………。」
シオンは私を睨み付けた。
その鋭い眼光に一瞬だけ怯えてしまいそうになったけれど、悟られちゃいけない。
「アンナは貴方のせいで出てきたくないの。でも、この事を黙っててくれるって約束してくれたら、アンナに私から伝えてあげる。」
私はしっかりとシオンの瞳を見据えてそう言った。

