薄手のドレスはこの季節には寒すぎて、私がくしゃみをしたので、ママはクローゼットからカーディガンとファーのコートを取り出して私に着せた。

それから今度はリビングに移動して、メイクと髪をセットする。

衣装を汚さない様に注意しながら、ママは私の髪を綺麗に巻いていく。

私はその間、自分の顔にしっかりと手入れをしながら下地とファンデーションで丁寧に基礎を作った。


慌ただしく準備する私達を横目に、双子はのんびり優雅にご飯を食べていた。

途中レオンがシオンにひそひそ話をしていたけれど、どうせろくな内容じゃないだろうと思って、気にしないようにした。

ママはとても手先が器用なので、髪は直ぐに仕上がった。

緩く巻いた髪を何ヵ所かラフに編み込み、黒のドレスだと地味だからと言って、紫や赤や黄色のシンプルな花飾りを髪に飾り付けた。

それは昔見た映画の主人公の女の子みたいで、とても可愛い出来映えだった。


「アンナ?アクセサリーはつけるの?」


髪を仕上げたママにそう聞かれたので、私は今着けている鍵のネックレスをつけたままにしたいと言った。

高級品ではないけれど、アンティーク調のそのネックレスはドレスと合わせても違和感がない。

私の言葉にママは優しく微笑んだ。


「……とても素敵ね。」


ママは何かを察したのか、そう言って私のメイクを施し始めた。