翌朝は思わず舌打ちしたくなるような、大荒れの天気だった。

予報では雨時々雪という何とも悲惨な空模様の中、夢も見ずにぐっすりと眠りについていた私は、けたたましい目覚まし時計の音で目を覚ました。

渋々ベッドから起き上がりカーテンを開けると、雨なのか雪なのかよく分からない物が降っていた。

曇った硝子に小さく八分音符を描いてみたけれど、私は溜め息をついてそれを掌で擦って消した。

厚手のニットカーディガンを羽織り、そのまま部屋を出てバスルームで身支度を整えると、いつもの様にリビングに向かった。


ぐっすり眠ったのが良かったのか、想像していたより気分はずっと落ち着いていた。

リビングに向かう廊下を朝食の香りが漂っていたので、ママがもう起きているのが分かった。


「おはよう、アンナ。よく眠れた?」


私がリビングの扉を開けると、案の定ママがキッチンに立って朝食の用意をしていた。


「うん。いっぱい寝れたから、今日は大丈夫だよ!」


ママの所に向かいながら、私は元気よくそう答えた。


「それは良かったわ。さぁ、先に朝食を食べて支度しましょう。」


ママは隣に立った私の頭の天辺にキスをすると、先に朝食を済ませるように私の分のベーコンエッグを取り分けた。