和也の後ろ姿をじっと見つめていたせいか、私は背後から近付かれていた事に全く気付かなかった。

「見せつけてくれるねぇ。」

その声にハッとして振り返ると、今日は珍しくきっちりと制服を着ているレオンがぴったりと私の背後に立っていた。

「……いつから見てたの?」

覗き見された気分で何だか不満だったけれど、文句を言っても仕方ないのでそう聞いた。

「ちゅー、したあたりから♪」

レオンはいつもみたいに私を構うようにそう言って、ニヤリと意味深に笑った。


私は下手にレオンに構うのも面倒だったので、溜め息を吐いてマンションに入った。
今日の守衛さんはレオンが一緒だったからか、直ぐに入口を開いてくれた。

エレベーターを待つ間、レオンは呆れたようにこう言った。

「つーか、シオンに見られたらどうすんの?」

シオンに見られても、多分シオンはなにも言わないだろうと思っていた私は、レオンの言葉に首を傾げた。

「あいつ、殺されちゃうかもよ?」

レオンは笑いながら、冗談なのか本気なのか分からない表情でそんな事を言う。

「……。」

私は何て答えて良いか分からなかったので、無言でレオンを見つめた。

「まぁ、何かあいつだけはシオンも構う気ないみたいだけど、程々にした方が良い。」

レオンがそう言うと、丁度エレベーターがやって来たので、私は何だか不愉快な気分だったけれど、レオンと一緒にエレベーターに乗って、自宅に帰った。