゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*



私は窓から見える木々を眺めながら、膝の上にもうすっかり見慣れた日記帳を広げるとシャーペンの先でトントンとリズムをとった。


それは私が考え事をする時の癖で、アンナであった頃から変わる事のない唯一の癖だった。


書きたい事は沢山あるけれど、何から書いたら良いのか。


私はゆっくりと頭の中でそれを整理した。


私は一つずつ、丁寧にそれを文字にして日記帳に書き出した。


スラスラとペンを走らせて、時折読み返しては、自分の記憶をしっかりとその場所に書き写した。


握ったシャーペンが小刻みに震えた。


それは私の瞳が涙で滲んで歪んでしまったからだ。


両目からポタポタと流れ落ちる涙は、日記帳に不規則な水玉を描いていた。


だけれど私は、もう泣かない。

私は指先で涙を拭うと、心が静まるのを待った。



その瞬間、階下から微かに私を呼ぶ声が聞こえて来た。



私はパタンと日記帳を閉じると、鍵をかけて机にそれをしまった。






゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*