イヴの日

薫と恭ちゃんが帰った後

菅井が来た…

「何でここが…?」

「佐山先生の後をつけたんだ!
いい写真が撮れたよ!
イヴに先生と生徒が、何をしていたのかな?
佐山先生は、泊まったことにしようか?
森田は来ていない
部屋に入る佐山先生の写真を、校長に見せて見よう!」

「やめて!!」

「頭の良いお前なら、この先どうしたらいいか…わかるよな?
始業式の日、金髪にして早めに登校しろ!
写真を現像して見せてやる!
ネガは、お前が卒業するときにやるよ!」



菅井が帰った後




血の気が引いた


あたしのせいで、薫が首になる


叔父夫婦に電話した


「ごめんなさい…帰らせて下さい」


それから、オーナーに電話した

「叔父夫婦と仲直りできたから!
ありがとう!!引っ越しするね!」

元々、たいした荷物なんてなかった

荷造りは、簡単だった

ピッチを解約した

虐待覚悟で家に帰った

殴られ、蹴られ痛かった

でも、薫を守れるなら平気!

恭ちゃんたちと初詣行けなかったけど

仕方ない




始業式の朝



菅井から写真を見せて貰った


アパートに入る薫

角度のせいであたしとキスをしているように見える薫


そして、菅井が言った


「佐山先生の生徒達も、簡単に辞めさせられる
七瀬が俺のクラスに戻れば誰にも言わないでおく」


「脅し?」


「七瀬…お前は、人殺しだろ?」


「え……」


「お前のせいで、高橋は死んだ…そうだろ?」


「なんで……それ……」


「人殺して、幸せそうにしてんなよ?
お前のせいで死んだんだぞ?
佐山先生も、お前のせいでクビ!
生徒もお前のせいで退学!
俺が、佐山先生と生徒を守ってやる!
俺の命令に逆らったら…クククッ」


体が震えた


「何でもする!だから!お願いします!」

「仕方ない、まず俺のクラスに戻れ!
佐山先生や今の友達すべてと、縁を切れ
せっかく、金髪にしたんだ!悪ぶれよ?
きっぱりと別れてこい!」

「わかった」


卒業まで、ずっと一緒だと思っていた

楽しい毎日が、続くと思っていた

健ちゃんは、あたしを許してくれたと

勝手に思っていた




教室から、出るのが怖くなった

あたしと関わる誰かが、菅井に狙われる

ベンチを見ることも出来なくなった

人と話のが怖い



家に帰れば、暴力を受け

「あんたさえ生まれなければ」

何回この言葉をきいたかな……

「ごめんなさい…生まれて……」

疲れた

何の為に生きてるのか




最後に皆の部活してるところを見よう!



すごく輝いていた


まるで別世界の人達



あたしさえいなくなれば



誰も菅井に辞めさせられないはず



最後に健ちゃんとの思い出のベンチに来た



空が青くて綺麗



ベンチに視線を戻したら、健ちゃんがいた


「おいで……」


怨まれているはずなのに、優しい笑顔


ベンチを手でポンポンしてあたしを呼ぶ


あたしが行くのは、健ちゃんの隣じゃない


あたしは、地獄にいかなくちゃ


走った


運動禁止から、久しぶりに全速力!


運良くトラックが来てた


死ねる


そう思ったのに……




まわりに、たくさん人が集まっていた


いろんな声が聞こえた


その中でも、1番聞きたくない菅井の声に

反応していた

菅井には、逆らえない


「簡単に死のうと思うなよ?
お前は、もっと罪の意識を持たなきゃな」







あたしは……どうしたらいいの……