冬休みになり、センター試験もあり

今、仮卒中


梨絵とは、ギクシャクして別れた


もうすぐ、卒業







俺は、関西の大学へ行く


引っ越しの荷造り中



机の中にあるものを見つけた

それは、俺のではない中学の生徒手帳

正月、書き初め大会に出場するため

俺とそいつは、T市で出会った

絡まれてケンカした

6対1で負けた

通りすがりの女の子が

ハンカチを出してくれた

立ち上がるとき、偶然俺とそいつの生徒手帳が落ちた

生徒手帳に書かれていた名前

〝内山 結〟

あの時の子が…



思い出したよ


生徒手帳の名前の下

誕生日が

同じ正月生まれだ


「結、生まれてきてくれて、ありがとう
誕生日、おめでとう!!」

「へ?なんで!名前!?」

「書いてんだろ?」

「え?」

「俺、なんも持ってないから、次に会ったら、結が欲しいもの買ってやるわ!
なんか、運命感じたから!!」



俺は、確かに言った

そして、うっかり結の生徒手帳を持ち去った


結は、俺の生徒手帳を持ってった



思い出した


やっと、思い出した


駅でボンボンを強請った理由


俺が言ったこと、覚えていたから


無性に誰かに言いたくて


うずうずしてた


偶然にも、松本から遊びの誘いがあり

会うことになった


松本は、知っていた


「おせぇーよ!!初詣言い出したとき
誕生日なんだよな!七瀬と一緒なんだよなって、お前に言ったし!ヒントのつもりだったのによ」

「まったく、聞いてなかった… 」

「七瀬、不安だったんだ
誰にでも、言うのかなって
忘れるくらい、どうでもいい出会いだったのかなって」

「そんなことない!」

「俺に言うなよ… 」

「今度会ったら、謝ろう…」

「だな…あ!
あいつら、同棲するらしいぞ!」

「マジ!?」

「婚約したって、言ってた!」

「それは、知ってる」

「なんで?」

「結が言ってた!幸せですって…」

「ふっきれたんか?」

「ん」

「ぷふっ それ、久しぶりかも!ん」

「お前ら、いつもマネするよな」

「七瀬が、面白がるからなぁ」

「はあー嫌なんだけど…」

「プチ修学旅行の時、七瀬と2人でお前の机あさったんだ」

「はあ?」

「手帳になんか書いてたよ!帰ったらみてみろよ!」






松本に言われた通り


〝同じ日に生まれた、結を思い出して!
恭ちゃんのことが好きです!
恭ちゃんの彼女になりたい!!
初めて誕生日を祝う言葉をくれた
恭ちゃんは、結のヒーローです!〟



涙が止まらなかった



「つき合いたいって思わなかったんじゃねぇのかよ… バカ!」


独り言です


バカは、俺だ…


いくらでも、チャンスがあった

好きって…

1回でも、言ってたら




なんてな…


遅いか…