ドン!と音が鳴るほど少女は少年の背に抱きつくと、待ってとせがんだ。

「まってください!おにさん、ひとりできない!」

「離せよ、言っただろ・・・俺に関わるな・・・」

鬱陶しいと言わんばかりに少女を引き剥がそうとするも、どうゆうわけかビクリとも動かない。
それどころか腰に絡みついた細く白い腕を外そうとすればするほど拘束する力が強くなっていく。

「・・・・・・・・・ぅぜぇ・・・ッ」

それがふつふつと少年の怒りの炎を燃え上がらせる。
抑えきれない怒りに足が勝手に抱きつく少女の腹に思い切り蹴りを入れた。
不意のことで避けることもできず、少女は小さく呻きながら地を転がる。
それでも少年の怒りは治まらない。

「うぜぇんだよ!!!一度助けたくらいでヒーロー気取りかッあ゙ぁ?!余計なお世話だっつってんだろぉが!!!俺に関わるな!!!近づくな!!!二度と現れるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

腹の中でドロドロと煮えたぎるマグマを吐き捨てるように少女に浴びせる。
あぁこんなの・・・
いつも俺に憎悪に満ちた罵声を浴びせるアイツらと同じじゃないか・・・

乱れた呼吸を肩で大きく息を吸い整えると、そのまま走り去っていく。
あの無表情でビー玉の様な翡翠が悲しみに染まっていることを見て見ぬ振りをして、
ただ溢れんばかりに込み上げてくる怒りと罪悪感を振り払う為に。