大昔、この村に住み着いた羽衣狐は人間を一人、また一人と腸を引き摺りだし、心の臓を喰らい村人たちに安らぎの時を与えなかった。

見かねた稲荷の巫女がなんとか村から出ていくよう説得するも狐は首を縦には振ることはあらず。

憎しみと哀しみに満ちた村人たち、妖狐を追い出そうと祠に乗り込むも狐の怒りに触れた村人たちは喰い殺される。

だが妖狐の怒りは静まることを知らず村を破壊しようと襲いかかった。

炎に包まれる家々、人々の悲鳴と呻きと共に広がる鮮血の海・・・

稲荷の巫女、己の命と引き換えに羽衣狐を撃退する。
一生妖狐が村に襲うことがないよう、村のはずれの竹林に封印をし、解かれることがないようその身に呪印を埋め込んで。

代々伝われし村の言い伝えと稲荷の呪印

晴れることのない憎悪もまた、稲荷の者に向けられる。

彼、稲荷 狐珀〈いなり こはく〉もその荷を背負うものなり。