『秋元 薫様ですね。お待ちしておりました。今夜の一時を存分にお楽しみください。』
受付で、薫からもらった招待状を見せると、係員から花のブローチを胸元につけられて、奥のフロアに入るように促された。
私をココに連れてきた張本人は、つまらなさそうに中に入っていく。
「あ、あのー…、」
『ん?』
「受付…しなくてもいいんですか?」
さっきから彼のことを伺っていて思ったけれど、この人…さっき受付しなかったよね?
まさかの顔パス?
この大人数で?
『……きっと俺のこと知らないのって、君だけだと思うよ。』
「・・・はい?」
疑問に思うことはたくさんあるのに、彼の言葉でさらに頭が混乱する。
知らないの私だけって、彼はそれほど有名人だってこと?
……ちょっと待って、ひょっとして私――
とんでもないヒトをパートナーにしちゃった…?
そんな考えが巡り巡って、立ちくらみそうになった。

