【短】俺の花嫁!





『じゃぁ、俺がエスコートしてやるよ。』

「…え、」


軽やかに、でも強引に掴まれた腕に、目の前の笑顔の男。

エスコート…って、


「ちょちょちょちょっ!」

『?』

「こっ、困ります!」


私を連れてヨーロッパ城に入ろうとする男から、パッと即座に離れる。

エスコートなんてされたら困る。

すぐ帰れなくなるじゃない…!


「ひ、一人で結構ですから。」

『…。』


やんわりと断って、一人でヨーロッパ城に入ろうとすると、無言で、また男から腕を掴まれた。

……この人、意外としつこい。


『ここ、パートナーなしじゃ入れねーぞ。』

「えっ?」


意外な一言に、下を向いていた顔が上がる。

目の前には、不敵な笑みを浮かべた男。


『俺がアンタのパートナーになってやるよ。』

「は?」


引っ張られた腕を振り払うことはできないまま、私は名前も知らない男とヨーロッパ城に足を踏み入れてしまった。