『アンタ、見ない顔だな。名前は?』
彼の上からの口ぶりに、ちょっとムッとする。
いかん。
薫の代行とはいえ、ここで素を出しちゃダメだ。
今日の私は、薫なんだから。
「薫です。何か御用でも?」
いつも、カフェでやっている営業スマイルを咄嗟に張り付けた。
営業関係の職業やっていてよかったと、切に思った瞬間だった。
『ふーん…。アンタ、連れは?』
名前を教えたのに、アンタ呼ばわり。
予想通り、お金持ちっていうのは、上から目線な奴らばっかりだ。
「連れ?…いませんけど…?」
え、ここ連れがいるの?
薫は一人で大丈夫だって言ってたけど…。
『ふーん…。』
意味深に、私の全身を舐めるように見つめる目の前の男性。
困る。
こんなに人にジロジロと値踏みされてるように見られること自体初めてだし、それに…私が庶民だってこと、バレてないよね!?

