【短】俺の花嫁!




「っ!?」


いきなり後ろからかかった声に驚き、唯でさえ履きなれていないヒールということもあり、体のバランスが崩れ、倒れそうになっていると、後ろから腕をひかれた。


『っ、あっぶねー、気をつけろよ。』

「す、すみません…。」


ほ、本当に危なかった…。

支えてくれる人がいなかったら、私今頃どうなってたか…考えるだけで背筋がゾッとする。

それにしても、ヒールの踵、折れてなくてよかったと思ってしまうのは、貧乏人ゆえの思考。

さぁ、気分は憂鬱だけど、意を決してヨーロッパ城に足を向けると――、


『おい、』

「?」


また、後ろからかかった低い声。

また何かと思って振り返って見た先には、


「……!」


今まで見たこともないほどの整った顔を持ったスーツ姿の男性がいた。

仕立ての良さげなスーツは、きっと一流の高級品なのだろう。

一目で、パーティーの参加者であると分かった。