あーいやだ。
小鳥遊コーポレーションの建物前。
カフェの制服姿そのままに、マスターのブレンドコーヒー片手に、溜め息をこぼしていた。
「現実って、甘くない…。」
昨日の薫との食事で、彼が小鳥遊コーポレーションに勤務していることは聞かされていただけに、気分は重い。
ぁあ、でも早くいかないと、折角のマスターこだわりのブレンドコーヒーが冷めちゃう。
アイスもおいしいけど、淹れたてはやっぱりホットじゃないと美味しくないのに。
「はぁ、行きますか!」
これも仕事!と自分に鞭打ち、小鳥遊コーポレーションの建物の中へ。
どうか、彼には会いませんように!
そう祈りながら、1階フロアの受付に一直線に向かう。
マスターに受付通さなきゃ、中に入れてもらえないといわれたしね。
「あの、カフェ・ひるさがりの者なんですが、こちらにコーヒーのお届けに参りました。」
『はい、お聞きしております。会議室1は、エレベータを御使用の上、5階に上がられて、真っ直ぐ行っていただいて左手にございます。』
「は、はい…。」
受付嬢の圧倒的な早口言葉に、全くついていけていない私。
とりあえず、5階に行けばいいんだよね?
受付嬢の案内をうろ覚えに思い出しながら、とりあえずエレベーターに乗った。

