ビールのつまみである枝豆を口に含み、思う。
きっと多分、もう一度彼と再会してしまったら、私は歯止めが利かなくなる。
熱くなりつつある本能を、どうにかフル稼働させている理性が、絶対に働かなくなる。
彼以外に誰も見られなくなるだろう。
彼と私が釣り合わないと分かっているのに、それを忘れそう。
怖いんだ。
まだ、今なら引き返せる自信がある。
平々凡々の私が、平々凡々の人生を歩みなおすことができるはず。
「私はもう踏ん切りがついてるからいいの。」
『本当に?』
「うん。」
『ふーん…。』
私の返事に、意味深に薫はビールを飲み干す。
「何よ?」
『今までの茉央を知ってる私からするとね、茉央…感情を理性で押さえつけてるだけでしょ?それは踏ん切りつけてるとは言わない。』
「……。」
薫の指摘に、私の視線は下降する。
薫の言葉はいつも的確すぎて、いつも私は何も言えなくなる。

