忘れよう。
もう彼のことを想ってしまっている自分がいるけれど、時間がそれを癒してくれるだろう。
彼には私なんかより、もっと身の丈に合う女性が現れるはずだから。
少なくとも、彼の隣に私は似合わないから。
『それで、眠っている彼をそのままに、マンションを飛び出して、タクシーで帰ったと…。』
「うん。」
『バカ!』
「…え?」
薫の喝に、唇に向かっていた私のビールのジョッキを持っていた手が止まった。
何で私が怒られた?
『何で自分の気持ちを殺すのよ!』
「殺すって…言い方が過激すぎじゃない?」
殺してはいない…はず。抑えてるだけで。
いつか消えていくだろうと、ただ時間が経つのを待つだけだ。
『茉央は頭硬すぎ!彼のこと好きなんでしょ!?どうして両想いなのに身を引くのよ!?』
「……。」
そんなに私、頭硬いかなぁ…?

