「あの、言っておきますけど…私、一般家庭で育った一般人なんですけど。」
『ぁあ、だろうな。』
「っ…だったら!」
私が金持ちの御令嬢じゃないと分かってて言ってるの!?
この人、頭のネジをどこかで落としてきてるんじゃないの?
『俺はお前がいい。』
「……何で、」
『俺の周りにいないタイプだし。中身の俺を見て接するのも、アンタくらいしかいねーよ。』
「そんなこと、」
『ある。』
「……っ」
なんだか、彼に言いくるめられてる気がするのは私だけでしょうか…?
「でも、」
『でもじゃない。』
「っ…」
どうしよう。
予想以上にしっかりと私の事を見てくれていたことが分かって、戸惑う。
そんな…ムリだよ。
御曹司と庶民が結婚?
そんなの――漫画の世界だけだと思ってた。

