『俺はお前の名前を聞いてる。名を言え。』
「っ……イヤ。」
『何で。』
「何ででも。」
相変わらず、私を見つめる彼の眼差しは強くて、私はいたたまれなくなった。
だって、顔はいいんだもん。性格は別物だけど。
こんなイイ顔で見つめられたら、気のない私でもクラッと来ちゃうかもしれないし。
『この際、お前が秋元の娘でもそうじゃなくても関係ない。俺の花嫁になれ。』
「っ!?」
正気!?
目の前の男が放つ言葉に、私は気絶しそうになった。
だって、意味が分からない。
何言ってるの、この人……名前も知らない女と結婚しようとするか?普通…。
あ、でもこの人、ちょっと常識ズレてるしなー…。

