『で、おまえは誰だ?』
「っ!」
強い力で、顎を掴まれて、下に向いていた私の顔を、彼の手によって無理矢理あげさせられ、嫌でも彼の目と目が合ってしまう。
はぁー…。
仕方ない、もう私の嘘はバレてるんだから。
そう思った時には、素の私が顔を出していた。
「私が何者でも、貴方に関係ない。」
『!』
「私が薫じゃないって分かったなら、結婚話はナシよ。それに、薫には恋人がいるの。邪魔しないで。」
あーもう、最悪。
元々、パーティーなんてすぐ帰ろうと思ってたのに、この人に邪魔されて。
すぐ帰れなくなって、ご飯を鱈腹食べようとしてたのに、またこの人に邪魔されて。
おまけに嘘もバレちゃってって…ツイてないとはこういうことだ。
「サヨナラ。」
『待て、』
「っ、」
言うことも言ったし帰ろうとした私の手を彼が引っ張ったから、立てなかった私はソファに逆戻り。
薫じゃない私に、まだ何か用があるというのだろうか。

