【短】俺の花嫁!




嘘…!?

彼が、このパーティーの主催者…!?

ってことは、――薫のお父さんが持ち掛けた縁談話の相手って…彼!?

うわ、超大玉じゃん…。


『本日は、思う存分、お楽しみください。』


慣れたように、大勢の前でスピーチを行う彼を目の前に、納得する。

そりゃ、受付を顔パスするわけだ。

主催者が招待状なんて、持つわけないしね。

そんなのんきなことを思ってる場合じゃないと、次の瞬間思い知らされる。


『突然ですが、皆様に私から大事なご報告があります。』

「?」


いきなり、大衆に向いていた彼の視線が、横に突っ立っていた私に向けられる。

何…?――まさか。

妙に優しげな彼の視線に、冷や汗をかく私。

脳裏によぎった嫌な予感が、現実になるのに、大して時間はかからなかった。


『この場で紹介させていただきます。彼女は――僕の婚約者です。』

「なっ……!?」


彼の言葉に、どよめく大衆。

それは私も例外ではなかった。

コイツ……外堀から埋める算段だ…!