そんな中、フロアに入ってビックリ。
目の前に広がる、おいしそうな料理がゾロリと並んでいた。
薫もここの料理は絶品だから、とおススメしてたし、……この人のパートナーになっちゃったし、どうせすぐ帰ることができないなら、美味しいものをいっぱい食べて帰ろう。
そう思って、彼のことは構わず、料理が並ぶテーブルの前に向かい、一級品であるだろう高そうな白い皿を手にして、食べたいものを物色し始めた。
どうせなら、普段食べられないようなもの食べたほうが得だよねー。
そう思って、ローストビーフに手を伸ばしたその時、
『花より団子か、』
「!……あの、何か?」
すぐ横に、私を強引に連れてきた、あの男が立って私の持っていた皿の上を見つめていた。
『食べたいの選んだら、俺に付き合え。』
「……はい?」
私は一人で食べたいんですけど…。
もう、貴方に用はないんですけど…!
――なんて、私の事情は関係ないらしい。
次々と、彼の手によって私のお皿の上に、色々な料理が盛られている。
…私に選ぶ権利もないの?
私の中で、すっかり強引という言葉が似合うようになった目の前の男は、お皿を盛り付け終えると、素敵な王子様スマイルを浮かべたまま、私をフロアから引っ張り出した。

