-ここからだったら空…飛べそう……-









高台の公園。眼下には光を纏った街が夜の装いで広がっている。






私は疲れていた。





付き合ってた彼は年上で、ヤバい事を色々していた。恐喝、盗み、薬、援交の斡旋。私は彼の命令に従うしかなかった。日々の暴力で身体はもうボロボロだった。

さっきまで暴力漬けだったのを命からがら逃げてきた。






「汚いからだ……」






薄い七分のワンピから伸びる手足は異常な程腫れて痣だらけ。顔も痛い。きっと腫れている。











「きれ~…………」












街がキラキラ宝石箱みたい。



彼に見つかったら私きっと……だったらいっそ…………








「私も……宝石になれるかなぁ」






ゆっくり手摺に捕まる。
なんて事ない。一瞬で済む。










フワッ………



-ビクッ-











急に肩にかかる暖かさにビックリして振り返る。
目の前に浮き上がる白いスカル、更に見上げると男の子?暗くてよく見えないけど、髪の毛を止めてるシルバーのピン止めがキラッと光る。









「何してんの?」










底抜けに明るい声にビックリ。私の顔見えてないの?こんなお岩さんみたいな不気味な顔………









「別に何も………」

「散歩?」

「まぁ…そんなとこ」
「ふ~ん」






簡単な素っ気ない返事とは裏腹にグイッと腕をつかまれて振り向かされる。





「痛っ…ナンパならよそでやってよ!」






キッと睨み付けると、その表情にドキッとした。

なんであんたがそんなに泣きそうな顔してんの?



「痛いよな。女の子なのに……」



そっと頬に触れるあったかい手のひら。
初めて会った奴に同情?なんか変な奴。