明るくなり始めた空。そろそろ始発が動く時間。不思議と眠気は感じなかった。

それよりも急がないといけない気がしたから。




15分ほど待つと、電車がやってきた。始発なだけに、乗客の数も少ない。

目的地は4駅先から更にバスに乗って、向かうは………徹が通う学校。



関係無いと言えばないような、あるといえばあるような……学校嫌いの私が、ここにはちょっとした思い出があった。














◆◆◆◆



私はとうとう、長く伸ばしてた髪をバッサリ切った。
元カレとの縁を切る為。
そして前向きに頑張る為。



徹のおかげ?で、最近ちょくちょくクラスメートが話しかけてくる。
最初はおっかなびっくりだったのが、段々会話が成立するようになってきた。
もっぱら徹の話題なのが微妙だけど………。




「神木さんってさ、ちょっと雰囲気変わったよね」

「えっ?」




前の席でおしゃべりをしていた子達が振り返る。ちょっと前までの警戒した様子は無い。


「なんていうか…なんか話しかけやすくなったよ」

「そうかな……」




自分では変わらないつもりだけど。知らないうちに徹の影響を受けてるのかも。


徹は人は引きつける。呼んでる訳じゃない、誘ってる訳でもないんだけど…アイツの周りには自然に人が集まるの、昔から。仲間を作ることに関しては天性の才能じゃないかと思うくらい。



「この前の人、彼氏?」

「見てたの?」

「うん、教室から。なんか凄かったね」




最初はこの子達も面白半分で声を掛けて来てるんだと思った。

でも違った。



「凄い守られてるんだなぁってわかったんだよ。最初、神木さん連れて行かれそうなの分かってたんだけど……助けらんなくてごめんね」




そんなこと……初めて言われた。