「ちょっ、ちょっと待って!」


いきなり掴まれた腕が痛い。


怖い目…。

どうして?
いつもの新平(しんぺい)じゃないみたい。

いつもは笑って、馬鹿言って、
からかってくるのに。。


今日はどうして何も言わないの?


腕に更に力が入った。

「痛いってば!離し…んんっ!」


キスされたって気付いたのはしばらく経ってからだった。


「な、な、なんで!なにすんの!
馬鹿!」

顔が赤くなって耳まで熱い。
夢中で新平の腕から逃れた。


不機嫌そうな新平。
「お前さぁ、鈍すぎなんだよ。」


「はぁ!?」


「俺がいつからお前のこと、女として見てたか知らないだろ?」


「は、は、はぁ⁈
あ、あん、あんた!な、何言ってんの⁈」

あははって笑ってその場をごまかそうとしたけど、新平は全然笑っていない。

それどころか、私が笑ったことに更に不機嫌になっている。


新平が少しずつ近付いてきた。
いつもと違う新平が怖くて、後ずさりしたけど、後ろにあるベッドに座る形になってしまった。
もう逃げ場はないのに、新平はどんどん近付いてきて、私はそのまま押し倒されてしまった。


「やめてよ!どいて!馬鹿!」

口で何を言っても新平はやめない。
手首を強く掴まれて、逃げることもできない。

新平の顔が近付いてくる。
またキスされる⁈

顔を背けて抵抗するけど、顎を持たれて上を向かされた。

「ん、んー!んんー!
新平、やめっ、お願い…、やだっ」


いつもと違いすぎる新平が怖くて、信じられなくて涙が出てきた。



それを見た新平はさっきまでとは違う、いつもの新平の顔に戻って、涙を人差し指で拭ってくれた。



「ごめん。ごめんな、ふみの。
痛かったよな。」




いつもの新平に戻ったのを見て安心して、更に涙が出てきた。


「あーあ。そんな泣くなよ。
目ぇ腫れるぞ?お前腫れやすいんだから」


「誰が泣かせてんのよ!」


振り向いた時に不意打ちでまたキスされた。
そしてギュッと強く抱きしめられた。

「新平、痛い。。苦しい。。」


新平の腕はたくましくて、力強くて、
昔の細い腕とは違っていた。

更に力が入る。

「新平、いたっ…、はなし…て」



「ふみの。好きだ。
ずっと前からお前のこと好きだった。」

耳元で囁くように言われた。

そしてまたキスされた。


「しんっぺ…、んっ、んん。
はぁ、んっ…、や、やめ……」

息が苦しくなるような深いキス。
頭がボーッとしてきた。


「ふみの?顔エロすぎ」


ニヤッと笑った新平。

こんな新平知らない。