こんなに、他人に気持を乱されたことは、初めてで。
だから、もういちど会ったら、自分が壊されてしまいそうで。
それくらいなら、もう2度と会いたくない。
自分の安アパートに帰って、そう思った時。
初めて、男の子の泣き声を、聞いた。
自分は、気が狂ってしまったに違いない。
そう思った、あの時の恐怖感は、今では笑い話だけれど。
「純、今日、いいことあったのか?」
「うん。ま、たいしたことじゃねぇけどさ」
他人が、純の絵で、少しでも癒されること。
それをいいことだと思えるようになった。
俊介と、この、純だけの男の子のおかげで。
男の子は、満面の笑顔で、俊介の横にいる少年に手を伸ばす。
俊介の面影が、笑えるほどそのまんまな、少年。
太い眉と、ドングリ眼。
俊介と同じ、少しいたずらっぽい笑顔で、男の子の手をつかむ。
この少年が泣いたところを、純は、見たことがない。
それだけ、俊介は、真っ直ぐに生きている、ということなのだろう。
それがどんなに難しいことか、今では、純にもわかっている。
だから、もういちど会ったら、自分が壊されてしまいそうで。
それくらいなら、もう2度と会いたくない。
自分の安アパートに帰って、そう思った時。
初めて、男の子の泣き声を、聞いた。
自分は、気が狂ってしまったに違いない。
そう思った、あの時の恐怖感は、今では笑い話だけれど。
「純、今日、いいことあったのか?」
「うん。ま、たいしたことじゃねぇけどさ」
他人が、純の絵で、少しでも癒されること。
それをいいことだと思えるようになった。
俊介と、この、純だけの男の子のおかげで。
男の子は、満面の笑顔で、俊介の横にいる少年に手を伸ばす。
俊介の面影が、笑えるほどそのまんまな、少年。
太い眉と、ドングリ眼。
俊介と同じ、少しいたずらっぽい笑顔で、男の子の手をつかむ。
この少年が泣いたところを、純は、見たことがない。
それだけ、俊介は、真っ直ぐに生きている、ということなのだろう。
それがどんなに難しいことか、今では、純にもわかっている。


