「買いたいんです。大切にしたいの。この絵があれば、私、この子だけは裏切れないって、頑張れる気がするから」

「まあ、それであんたがいいなら、いいけどさ」

女性は、純の手に、お札を渡した。

「あの、いくらかわからないから……お礼の気持ちです」

「ちょっと、もらいすぎだ」

「そのかわり、また、ここに来てもいいですか?」


女性の隣に立っている女の子が、はにかむように、純の横にいる男の子を見る。

尋ねるように見上げられて、純は、笑ってうなずいた。


「ああ。たいていいつも、ここにいるからさ。いつでも、来いよ」

「こんどは、友達を連れてきます。元気にしてあげたい友達がいるの」


ああ、これでまた、青空カフェみたいになっちまうぞ。


内心ちょっとため息をつきながら。

それでも純は、頷いた。


「いつでもどうぞ。お嬢さん」